アーティスト・エンタメ業界のトップランナーからのメッセージ

業界インタビュー

Sonic Synergies Engineering

Mixer/CEO

ジェルメン グレゴリ

Gregory Germain

Sonic Synergies Engineering合同会社

グローバルなオーディオプロダクションエージェンシーとして【センスあふれる人材とこだわり抜いた空間でサウンドを変え世界を変え未来を変えていく】をテーマにレコーディング、ミックス、立体感オーディオの制作に特化し、ポップスから映画の世界まで幅広い様々なサービスを提供している他にはないサウンドのプロ集団。

ジェルメン グレゴリ(Gregory Germain)

フランス生まれ。日本文化好きが高じて20歳で来日し、語学学校を経て音楽専門学校に入学。卒業後は、スタジオグリーンバード、ディグズ・グループでポップスやダンスミュージックを中心にハウスエンジニアとして活躍する。2015年には世界的エンジニアからテクニックを学べる「Mix With the Masters」に参加し、南フランスのスタジオでトップクラスのミックステクニックを学ぶ。2021年、独立しSonic Synergies Engineeringを設立。AAAMYYY、ジャニーズWEST、Mrs.GREEN APPLE、Ado、ONE PIECE FILM REDオリジナルサウンドトラックなど多数のレコーディングに携わる。プラグインメーカー「WAVES」の東京コミュニティーリーダーとして、最新情報も発信している。

日本でこの道を志した理由

わからないからこそ、知りたい。
好奇心がやりたい道につながった。

生まれ育ったフランスで日本文化と出会ったのは中学生のころ。マンガやアニメ、ゲームに興味を持ち、フランス語に翻訳される前の原作を購入するほどはまっていました。その流れでさまざまなジャンルの日本の音楽を聞くようになり、サントラのクレジットでアーティストの名前を覚えたり、タイアップ企業の存在を知ったりと、知識を深めていきました。その当時、まだインターネットが普及しておらず、フランスに日本の音楽業界の情報はまったくなかったんです。そのため、手探りで調べていくうち、日本の音楽業界の豊かで大きなマーケットに気づき、アーティストを支える仕事に携わりたいと思うようになりました。せっかくなら日本の音楽専門学校で学ぼうと20歳で来日し、1年間、語学学校に通った後、音楽専門学校に入学。今から思うと本当に情報が少なかったのでかえって好奇心が刺激され、自分で深く調べていくことでやりたい道に近づけたのだと思います。

この仕事のやりがい

想像力を働かせ、要望に応える。
それが高いクオリティにつながる。

今の若い人たちはよく勉強していて、機材の扱いに長けています。ただ、この仕事ではスキルも必要ですが、もっとも大切なのは相手の想いをくみ取ること。現場でアーティストから何か要望があったとき、その本質を考えることが重要です。独特な表現をするアーティストもいるので、想像力を働かせて相手の想いを理解し、手元にある機材で実現させる。それがレコーディングエンジニアに期待されていることであり、その期待をさらに超えられると大きなやりがいを感じます。全体をよく見て場の雰囲気をつかみ、臨機応変に対応する力をつけることが不可欠です。

これから業界を
目指す方へのエール

失敗は成長のチャンス。
おそれずにトライしよう。

私が高校生のころは何をやっているのか謎だらけだったこの仕事も、今ではプロがYou Tubeで解説したり、誰でも気軽に機材を買えたりするほど認知されています。それゆえ、情報を持ちすぎて整理できていない人も。これからこの仕事を目指すなら、まず情報の質を見極めましょう。また、例えば1カ月間You Tubeを見ないなど自分に制限をかけることも有効です。1つのことを自分のものにして次に手を伸ばす姿勢を身につけるとよいと思います。そして、失敗をおそれないでください。失敗したからこそ得られる経験があります。失敗は成長のチャンスととらえ、どんなときもトライする気持ちを持っていてほしいです。

取材協力 studio MSR