さて、当日。お昼の12時に、集合場所であるXの事務所に、参加メンバーは三々五々と集まって来た。この日に〆切原稿のあったウツミンだけが、後から電車で直接現地に向かうことになった以外、他のメンバーは全員ここに集合なのだ。

 「こんなに早く起きると眠たい」と言いながら、ボーッと缶コーヒーを飲んでいるHIDE。KYOちゃんはデランジェ時代の自分の写真がXの事務所の壁に貼ってあるのを見つけて、「なんでこんな昔の写真が・・・」とテレながらも、ちょっぴり嬉しそう。「これから長時間の運転だから、腹ごしらえをしとかないと」。そう言いながらUMEは、朝っぱらから、ひとりでとんかつ弁当を食べている。しかし、約束の時間を30分過ぎても、なぜかAMIちゃんが現れない。「昨日本人が、『明日、12時ね』って言ってたんだから、忘れるわけはないっす」と、UMEが言う。でも、自宅に電話しても誰も出ないし、留守電にもなっていない。『おかしいね』とみんなが心配するうちに、一時間たち、一時間半たち・・・。とうとう、AMIちゃんに連絡の取れないまま、とりあえず一行は出発することになった。

 ヤンキース号に全員が乗り込み、一行は二時間遅れで事務所を出発。窓際の席にチョコンと座ったKYOちゃんは、「このメンバーだと、ど〜も俺はイジメられ役になっちゃいそうだよなぁ」(笑)と、後ろの座っているHIDEを横目でチラリ。一方のHIDEは、誰かが買ってきたポテトチップの袋を抱え込んで、バリバリとすごい勢いで食べている。みんなが和気あいあいと騒いでいる中、運転席のUMEは、ひたすらシブク、黙々とハンドルを握っていた。車が高速の入り口に近づいた時、HIDEが突然、言い出した。

「ねぇ、AMIちゃんの家って、この近くじゃない?」
UME 「ここから、30分くらいっすよ」
「じゃ、行ってみようよ」
UME「でも、あれだけ電話したのにでないってことは、家にいないんじゃ・・・」
「いいよ。ものは試しだから、いってみようよ。案外あいつ熟睡してたりして」
KYO 「わざわざ迎えに行っちゃうなんて、すごいよね」
UME「俺、道がハッキリわからないっすけど、たどり着けるかなぁ・・・」

 UMEは、AMIちゃんの家に行く道がうろ覚えなので心配してたけど、そこはバッチリ。一度も迷うことなく、車はAMIちゃんの家に到着した。みんな車から降りて、AMIちゃんの家の呼び鈴を鳴らす。しかし、部屋の中からはコトリとも音がしない。なぜか隣の家を偵察しに行くUME。

 HIDEはカーテンの掛かっている窓から、一生懸命に中をのぞこうとしている。KYOちゃんは、電気のメーターが動いていることを素速くチェックし、さらに呼び鈴を押し続けている。でも誰も出てこないので、みんなそろそろ諦めようとしたその時・・・

 バタン!いきなりドアが開いて、九割かた目の開いていないAMIちゃんが、ヨロヨロヨロと家から出てきたのだ。もう、その格好からは、“つい五秒前まで熟睡してました”ってことが、イヤでもわかる。そんなAMIちゃんを見て、みんな大笑い。寝間着のままのAMIちゃんは、なにが起こったのかわからないらしく、お腹をかかえて笑い転げるみんなを、キョトンと見ている。 

AMI 「みんな、どうしたんっすか?」
「どうしたもこうしたもないよ。来ないから迎えに来たの」
AMI 「あ、すまねぇっす!俺、たった今まで熟睡してました」
KYO 「そんなのひとめ見ればわかるよ(笑)」
「ほらAMIちゃん、温泉、行くよ。タオル持って、おいでよ」
AMI 「はぁ〜い」
 こうして、まだ半分眠っているAMIちゃんを、まるで人さらいのように車に乗せた私たちは、再び温泉に向けて走り出した。それにしても、約束の時間を三時間以上過ぎてまだ寝ていたAMIちゃんもAMIちゃんだけど、それを家まで迎えにいっちゃう私たちも私たちだ(笑)。こうして、予想通り、この温泉旅行は初めから波瀾万丈の幕開けだったのである。
イラスト・ひーchan 

● COPYRIGHTS; 1997-2009 大島暁美, ESP MUSICAL ACADEMY, AC; Japan . All rights reserved. ●